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2012年 09月 11日
山梨県・南アルプス市、北岳にて。 甲府盆地を挟み、八ヶ岳が見える。 実は肉眼だと、ここまでクッキリと見えなかった。 家に帰り、写真を見ると霞みの中にも陰影があるのが手に取るように分かり、少しビックリした。 望遠レンズで遠景を切り取ると、細かい部分までよく見える。 コントラストが高く、分解能が肉眼より優れているので、微妙なニュアンスが表現されたのだろう。 いわば、自分の期待を越えた写真。「棚からぼた餅」みたいな写真だ。 肉眼より写真が優れているとは限らない。 というより、写真が不得意としているもののほうが圧倒的に多いだろう。 たとえば紫系の花や、夕日の茜色などは、写真ではなかなか再現されにくい。 デジタルカメラとフィルムでも違う。 色だけではない。明暗差のあるシーンなども写真にするとガッカリすることが多い。 このような、理由のハッキリした「ガッカリ」はまだよい。 なぜだか分からないが、どうもイマイチだと感じる場合もまた多い。 写真において、色や明るさは「客観的」だ。 分光特性とかEV値(露光量)など、科学的で客観的な数値で表せる。 でも、人間の知覚はセンサーである眼ではなく、その情報を処理する脳も関わっている。 そこには感情があり、聴覚や嗅覚、触覚といった他の感覚も同居している。 そして、記憶という、曖昧で辻褄の合わないものを頼りに過去を探る。 思い出は、遠い日の幻なのだろう。美しき思い出は、より美しくなる。 その幻と、制約はあるにせよ、科学的な手法で過去を定着する写真を付き合わせ、比較する。 これでは写真に分が悪いのも、無理もない。 でも、それで良いのだろう。 過去がひとつである必要は、ないのだから。 それに、つまらないと思った写真だって、数十年後には輝くかもしれない。 なぜなら、忘れかけた甘い記憶ほど、美しいものはないのだから。
by small-talk
| 2012-09-11 16:30
| 甲信越
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Comments(6)
おお、これはまた、何とも美しいですね。
カメラの方が反応する状況だったということでしょう。 カメラの客観性も疑わしいところがあります。 各メーカーの絵作りがそれそれに蓄積されて、 どうしてもそのソフトに影響されます。 もちろん、フィルム時代にも同様のことはあったわけですが。 そこに人の気持ちが絡めば、仰るように判断難しいものになりますね。 そういうものだし、それを受け入れ、それで良いのでしょう。
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kochira703 at 2012-09-11 21:25
「棚ボタ」とはご謙遜! 雲の流れが何とも美しい!! 青い色の変化にも感動です。
北岳には登ったことがあるのですが、こんな景色はかけらも残っていません。この写真を美しい思い出として、心に焼き付けることにしましょうか(笑)
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takeshi_kanazaw at 2012-09-12 00:41
うんうん、棚ぼた とはいい表現ですね。
何時も棚ぼたを期待して、何でもシャッターを押しているのですが・・・。 まー、撮るのも人間。撮った写真を見るのも人間ですからね~。 それにしても、貴兄の作品の、空の青さと山の青さの微妙さは良いですね・・・。
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small-talk at 2012-09-12 08:16
iwamotoさん、いらっしゃいませ。
仰せの通り、カメラも「絵作り」をしていますからね。 これは、デジカメだけではなくフィルムの時からです。 実際より鮮やかな絵作りを「記憶色」といか言っているメーカーもありました。
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small-talk at 2012-09-12 08:17
kochira703さん、いらっしゃいませ。
雲の流れが独特でした。風になびいたような夏なのに爽やかな雲でした。
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small-talk at 2012-09-12 08:19
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