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2009年 06月 28日
富山県・大山町(現、富山市)、北アルプスにて。 押し入れに昔撮った写真をしまいこんでいる。大抵がポジフィルム(スライドフィルム)だ。 ポジフィルムはカビが生えやすい。湿気の多い梅雨の時期になると箱を開けて、年に一度、カビ防止剤を入れ替えるのが年中行事となっている。 本棚の整理もそうだが、懐かい写真だからついつい見てしまい、効率の悪いことこの上ない。今回もポジを電灯に透かして見ながら、作業を進めた。 数日前のニュースで、コダクロームが生産中止となると報じられた。 コダクロームとは、コダックのかつての看板商品だったポジフィルムだ。 デジタルカメラが主流となる時代、過去の栄光だけでは、商売が成り立たないのだろう。 やや、専門的な話になるが、ポジフィルムには「外式」と「内式」という二種類の方式がある。 カラーフィルムは、あたりまえだが色が付いている。 その色の元となる色素を現像するときに加える方式を「外式」、フィルムに元々色素が入っているのが「内式」と呼んでいる。 そして、コダクロームは現在唯一の外式フィルムなのだ。 外式のメリットは、色素が無いので原理的には細かい粒子のフィルムが可能だ。ただし、現像が特殊なので現像所が少ない。だから、ポジフィルムの主流は内式となった。 僕が写真を始めた頃 〜もうかれこれ25年ほど前だが〜 は、鮮鋭性の高いポジフィルムといえば、コダクロームだった。発色は渋く使いこなしの難しいフィルムだが、シャープな描写は、他の追随を許さなかった。 そのコダクロームに強力なライバルが現れる。1990年に発売された富士フイルムのベルビアだ。 ベルビアは、内式にも関わらず、コダクロームを凌駕する鮮鋭性だった。加えて、一般受けする大変鮮やかな発色で、製造ロットによる色調のバラツキも少ない。 コダックのシェアは、かなり奪われたのではないだろうか。それまでは、ポジフィルムといえばコダックだったのだが、その後勢力図は大きく塗り替えられることになる。 そして、僕もコダクロームからベルビアに乗り換えてしまった。 その後、何度かフィルムの銘柄を換えた後、デジタルカメラがメインとなり、フィルムそのものを使わなくなってしまう。 一年ぶりに押し入れからフィルムを取りだしていると、昔、コダクロームで撮った写真が出てきた。 箱には「1987年8月」と書かれている。コダクロームの全盛期だった、22年前の写真。 写真を撮る楽しさを教えてくれたコダクローム。 今は使わなくとも、消えゆく事に寂しさを覚えるのは、身勝手というべきものなのだろうか。 人気ブログランキングに参加しています。 人気ブログランキングへ ←気に入ったらここをポチッと。
by small-talk
| 2009-06-28 19:48
| 上信越の山
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Comments(21)
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shio622 at 2009-06-28 20:27
コダクローム
黄色い箱に入って売ってたのを思い出しました フィルムにはさしてこだわりがなかったのでフジクロームと区別なく使っていましたが コダクロームってそんな歴史が有ったんですね 思い出の詰まった大切なフィルム カビが生えないように、毎年カビ防止剤を入れ替えながら昔を懐かしんで下さいね
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ray_alone1026 at 2009-06-28 22:51
こんばんわぁ^^
以前はフィルムをメインで撮られていた事は知っていましたが。 とても詳しいですね。 こういうお話は出来れば、もっと聞きたいですね!よろしくお願いします。 そういえば・・・ 冷蔵庫の中のフィルム在庫の中にコダクロームがあったかも・・・。 取りあえず買って置こうと思い、以前に買ったものですが。 コダックはネガでも販売を止めたと思われるフィルムがあるんですよね・・・(^^; 愛用していたフィルムなので、ちょっと困っています。
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hanmaondo at 2009-06-28 23:00
思い入れがいっぱい有るのでしょうね。
写真からも文章からもそれが読み取れます。 small-talk さんのようにフィルム写真時代が長い人には 大変なニュースだったらしく、長文の追悼記事を読むのは small-talk さんが2人目です。 私自身は、カラーフィルムを使った期間、本腰を入れて撮って いなかったので、それほど感慨はありません。でも、これが 逆の立場だったら大違いだ、ということは良く分かります。
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guitarist_d2x at 2009-06-28 23:29
私はフィルム時代はあまり考えずに撮影していたので、ネガしか使いませんでした。
最近デジタルで撮影するようになってから、古いフィルムカメラを中古で買ってポジで撮影するようになりましたが、コダクロームは使ったことが無いので、今はもう話でしかその良さが判らないのが残念です(^^);
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AL17 at 2009-06-29 09:49
こんにちは〜ノスタルジックな写りがとっても素敵です。
デジタルでは味わえないフィルムの良さが有りますね。 私も又フィルムカメラで撮ってみようかなぁ。。。 素敵な想い出の小箱を開いてみせて下さって有り難うございます。 ぼちっ!!
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orange-paprika at 2009-06-29 19:21
こんちは!
先日はわざわざお越しくださいありがとうございました! カメラのことあんまわかってないRARAなんで、 勉強させてください! (すごい専門的な方とお見受けしました☆) これからもよろしくお願いします!!
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lens_hell at 2009-06-29 21:31
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small-talk at 2009-06-29 21:35
shio622さん、いらっしゃいませ。
昔は、カメラの蓋に付いているメモホルダーに、あの黄色い箱を切り取って入れているだけで、写真が上手くなった気がしていました(笑)
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small-talk at 2009-06-29 21:36
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at 2009-06-29 21:37
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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small-talk at 2009-06-29 21:40
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small-talk at 2009-06-29 21:43
guitarist_d2xさん、いらっしゃいませ。
コダクロームは、今の基準で見ると優等生とは言えないと思います。 ただ、ハマる光景もあるのです。 ちょっとアンダー気味に逆光を写すと、とても綺麗だったのを覚えています。
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small-talk at 2009-06-29 21:45
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small-talk at 2009-06-29 21:46
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small-talk at 2009-06-29 21:48
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small-talk at 2009-06-29 21:52
lens_hellさん、いらっしゃいませ。
ブロニー判のコダクロームは、とても短い時期しか発売されていませんでした。 コダクロームもISO64のKRの他に、ISO25のKM、ISO200のKLと全盛期には三種類、それぞれのプロ用も発売されていました。
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mmina_831 at 2009-06-30 11:31
初めまして
コダクローム製造中止ですか、残念ですね、 PKM、PKR、PKL、沢山使用しました、特にPKMは百本単位でフイルム用冷蔵庫に、、、 癖が強く使いにくいフイルムでしたがルーペをのぞいた時のあの粒状感と落ち着いた発色がたまらない、 F社のフイルムはとても使う気になれませんでした。 そうそう30年以上前の画像がまだ退色しない、外式フイルムですから当然ですが、写真は記録性ですから長持ちしなくちゃどうにも、、、。 コダクロームを含めて500~600本冷蔵庫ごとつい二ヶ月前処分しました。 サイモ&ガーファンクルの曲にもコダクロームをニコンにつめて旅に、、、 なんて曲が有りました。 長々とすみません。 申し遅れましたがリンクさせて頂きました。
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small-talk at 2009-06-30 22:01
mmina_831さん、はじめまして。
僕は、コダクロームをメインで使っていたのが5年間位ですが、やはり写真を初めて間もない頃なので、ある種の思い入れはあります。 ただ、この時代に現像ラボのメンテナンスを含めて、コダクロームを維持するべきだ、とコダックに要求するのは、酷だと思います。 後、派手な発色は、飽きるのですよね。 富士ならば、アスティアくらいがちょうど良いのかなと思います。
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ROLLEHIRO at 2009-07-02 22:50
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small-talk at 2009-07-03 00:12
ROLLEHIROさん、いらっしゃいませ。
このブログ初の銀塩写真です。 基本的に昔の写真は掲載しないのですが、今回は記事の内容に合わせました。 オリジナルの色調になるべく合わせたつもりですが、スキャニングって手間がかかるのですね。
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