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2012年 06月 04日
長野県、軽井沢町にて。 森に佇む、一軒家のレストラン。 街の中心部から少し奥まった、隠れ家のようなこの店は、観光地独特の喧騒はない。 斜陽というにはまだ早い、ランチタイムがひと段落した頃合い。 川に面したテラス席で、長閑さを確かめるように微睡む。 僕は、煎りが深めなコーヒーの香りを、瀬音と共に味わった。 などと、文章とは便利なもので、いくらでも着飾られる。というよりも、嘘も綴れる。 実を言えば。。。 確かに避暑地・軽井沢に相応しい、映画にでも出てきそうなロケーションのレストランだった。 しかし、「ちょっとした手違い」で、値段を確かめずにオーダーしてしまったのだ。 というのも、テーブルにたまたまメニューがなく、でもコーヒーごときの値段をわざわざ確かめるケチな真似はしたくない。なんとも、つまらない見栄が働いたのだった。 僕には場違いの、ちょっと洒落た店。この手の店での、相場は疎い。 勘定を気にしながらビクビクし、貧乏臭くチビチビとコーヒーをすすっていたのが、真実なのだった。 そういえば、レストランでは、「ちょっとした手違い」というのが多い。 あるファミリーレストランでの話。 隣の席に座っていた見知らぬ女性が「パルマ風スパゲティ」なるパスタを注文していた。 メニューを見るとトマト風味のパスタで、なかなか美味しそう。しかもリーズナブル。 僕も同じ品をオーダーした。 程なく、パルマ風スパゲティが運ばれてきた。 但し。 事もあろうか、後から注文した僕のテーブルへ持ってきたのだ。 (あれ、隣の人が先のはずだけど、間違ったのかな。でも、お店の人が先に持ってきたのだから、僕の勘違いかな) よほど、お店の人に確かめてみようかと思ったが、そもそも、他人の注文を耳をすませて聞いていたなんて思われるのは嫌だし、僕の勘違いならば、余計なお節介というものだ。 パスタは冷めると味が落ちるからと、食べ始めたその時。 「私の方が先のはずなのに、なんで隣のが先なのよ!」 女は目を吊り上げながら僕のパスタを指さして、ウェイトレスを怒鳴りつけた。 店は、瞬時に険悪な雰囲気となる。壁にはなぜかギルランダイオの作品とおぼしき「最後の晩餐」が飾られており、指された僕の気分も「最後の晩餐」となる。 ウェイトレスは、ひたすら平身低頭で謝るも、女の気持ちはなかなか収まらいらしく、まくし立てる。 なんだか僕まで悪者のような雰囲気。 (すみません、先に食べてしまい。。。でも、僕は、「善意の第三者」みたいなものですから。。。) 気の小さい僕は、自分が悪くないのにもかかわらず萎縮してしまうが、その一方で、たかが順番が間違ったくらいで文句を言う女が、なんとも大人げないな、と思った。 女は、最後まで仏頂面をしており、僕はパスタを掻き込み、そそくさと店を出た。 それから数週間後、家からほど近いイタリアンでの出来事。 硬苦しくなく、かといってチープでもないリストランテ。休日のブランチには、お誂え向きの店。 僕は、コーヒー付きのランチセットを頼んだ。しかし、なかなか出てこない。 要は、この間のファミリーレストランと同じく、オーダーの順番を間違えられたのだった。 ウェイトレスを呼び、平静を装いながらクレームを付ける。 「大人げない」と悟られないよう、紳士を装いながら。 「先程注文したパスタが、まだ、来ないのですけれど、どうなっているのしょうか」 慇懃無礼な物言いだった、と思う。 休日で、別段急ぐ用事もない。でも、自分が軽んじられているような気になった。 何のことはない、僕も大人気ない、チンケな人間だったのだ。 「すみません。すぐにお作りしますから、今しばらくお待ち下さい」 ウェイトレスは、すまなそうに詫び、すぐさま厨房に催促を入れ、程なくパスタが運ばれてきた。 気を取り直して、パスタを食べる。 頃合いを見て、ウェイトレスが食後のコーヒーをケーキと共に持ってきた。 コーヒーはともかく、ケーキはオーダーしていない筈だが、また手違いか。 「先程はすみませんでした。こちらはお詫びの印しです。よろしければお召し上がりください」 得した、と僕は思った。我ながら、根が単純な人間だと思う。 そして、この店は客の心理をよく心得ているなと思った。 巷にあふれる社会人向けの啓蒙書に、「ピンチこそ最大のチャンス」なんて書いているが、まんざらウソでもないらしい。 少なくとも、僕は気分良く店を後にしたのだから。 ところで、ファミリーレストランでの件の女も、仮にケーキをサービスされたら、気分良く店を出られたのだろうか。 オーダーの順番を間違われて気分が悪くなるのは、料理にありつけるのが、遅いからなのか。 お腹が減ってイライラしている。でも、それだけではあるまい。 人間は、他人との関係性で物事を判断する。群れ社会で生きる動物の宿命。 つまり、自分が他人より軽んじられたり、差別されることにひどく敏感なのだ。 それが誤解であっても「バカにされた」と思い、些細なことでも自尊心が傷つく。 普段は露出しなくとも、たかだか、パスタひと皿ごときでも「お金を払っている」という優位な立場にいると、それが露わになるのだろう。 その裏返しとして、自分が優遇されたことに対して、それが、ケーキひと皿で自尊心が満たされる。 可笑しくも悲しい性ではないか。 そう、煎りが深めなコーヒーが、苦くとも香り高いように。
by small-talk
| 2012-06-04 18:00
| 甲信越
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Comments(12)
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miya_350z at 2012-06-04 18:44
あれ、週末は軽井沢でしたか(笑)
お洒落なカフェとは無縁も、現地の美味しい食べ物は堪能してきました。
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takeshi_kanazaw at 2012-06-04 20:00
あるある、似たような経験が。
小諸のお城の蕎麦やさん。頼んだ順番に持ってこない。 目を吊り上げた女性と同じでしたが、私は特に仕事のシステムが出来ていないことに凄く腹がたった。 私は、店員さんにその旨を通知し、即座に店を出ました。 「こんな店、早くつぶれろ!」 そう呟いて・・・・。
店を見る客の眼力というものを、無視してはイケナイかもしれませんね。
その店に入るのは自分の責任ですから、そこで腹を立てないようにしたいものです。 その全てを受け入れる覚悟を持って、入店いたしましょう。 わたしは、一期一会をそのように楽しんでいます。 世の中に馬鹿はたくさんいるのです。 そして自分も大して違わない、そんな気がするのです。 それと、相手の力を引き出すことも大事ですね。 職人さんは良い気持ちで働かせてこそです。 バイトであろうと、あのときのあの客のひとことが、今の自分を作ったと言わせましょう(笑) エサを喰うなら、順番も大事でしょうが、大事なのは祝祭性です。 そこを遊ぶ余裕がなければ、 金を払って楽しみを得ることから遠くなります。 わたしは50歳を過ぎてから、頭の使い方が分かりました。 頭は下げるために付いているのだと(笑)
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small-talk at 2012-06-05 08:46
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small-talk at 2012-06-05 08:48
takeshi_kanazawさん、いらっしゃいませ。
まあ、ご立腹なさるのもわかりますが、少なくとも店員には悪気はないのだし、紳士的にいきましょう。
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small-talk at 2012-06-05 08:49
iwamotoさん、いらっしゃいませ。
幽体離脱、ではないですが、自分を客観的に見下ろしてから対応すれば良いのでしょうね(笑)
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withyoursong at 2012-06-05 11:08
素敵なモノクロのお写真ですね。
それに文章も読ませてくれますね~☆☆☆ すっかり書き出しの5行の世界にはまり込み、 新緑薫る軽井沢の清流の音に耳を澄ませていました^^。 その後のファミレスとイタリアン、実社会はやはりこちら寄りで、 可笑しなことも多々ありますよね。 そんな時は幽体離脱♪則天去私♪出来れば穏やかに過ごしたいものです。
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small-talk at 2012-06-05 17:57
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rollingwest at 2012-06-06 20:35
落ち着いた雰囲気あるカフェテーブルですね。軽井沢に行ったらジョンレノンが家族旅行した場所を巡ってみたいと思っています。
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doronko-tonchan at 2012-06-07 04:50
こういうことありますね。
怒ったのには理由があるとは思いますが、たしなめるではなく怒鳴り つけたとは・・・ 笑って済ませろとは言いませんが、そんなに腹立たしいことなので しょうかねぇ・・・ パルマというよりパロマ瞬間ガス湯沸器のようです。(笑) ロケーションとシチュエーションがマッチしません。(^^:) こんな店にこんな客・・・ せっかくの軽井沢の思い出にケチが付きましたね。 これも「避暑地の出来事」? 順番は守るべし!ということでしょうか。(^^:)
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small-talk at 2012-06-07 08:53
rollingwestさん、いらっしゃいませ。
このレストランは、ジョン・レノンが泊まった万平ホテルの近くですよ。
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small-talk at 2012-06-07 08:55
doronko-tonchanさん、いらっしゃいませ。
写真と文があまり連動していなく紛らわしいのですが、写真のレストランでの出来事ではありません。 僕ももう少し大人にならなければ、と思います(笑)
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